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大家さんの車 FERRARI DINO 308GT4

大家さんのフェラーリディノ308GT4のエンジンがかからなくなった?

 

ちょっと前に、エンジンオーバーホール後500kmという触れ込みで、大家さんが購入したフェラーリディノ308GT4があります。
ナンバーを取得してからほとんどガレージに置かれていて、数か月に1度エンジンをかけるという月日を送っていたのですが、エンジンがかからなくなったというので診てみました。

 

基本的にはクライスラー・ジープ・ダッジ以外は診ないつもりなのですが、大家さんなので…

 

まずは、基本のエンジンが始動するための3大要素の点検から始めます。
この3大要素とは、【良い混合気】【良い圧縮】【良い火花】です。
14.7:1のガソリンと空気の混合気を、しっかりと圧縮し、点火することでエンジンは動いています。
エンジンがかからないと言って、この3大要素を調べもしないで、頭を抱えて悩んでいるメカニックがまだまだ多いのも事実です。
と嘆いて、先に進みます。

 

セルモーターは元気に回っていて、時々点火している様子で、燃料が薄いのかな?といった感じを受けました。
初爆はあるので、この時点で点火系の故障ではないと踏みました。

 

まずは、簡単で基本的な点検から行っていきます。
プラグの状態を確認して行きますが、案の定、若干かぶり気味なのを確認。
かぶっているということは、燃料はとりあえず来ているとしました。
プラグを全員取り外して、ガスバーナーでプラグをあぶった後に、清掃をして取り付けて始動を試みます。

 

申し遅れましたが、このフェラーリディノ308GT4は1976年モデルのアメリカ並行と思われる車両で、ウェーバーキャブレターのダウンドラフト4連装というお年寄りです。

A:バイパススクリュー B:アイドルスピードアジャストスクリュー C:燃料入口 D:チョークレバー E:スロットルバルブレバー F:スロットルオープンアジャストスクリュー

 

この手の、キャブ車のエンジン始動には、ちょっとした儀式が必要です。
チョークは付いていますが、使わずに始動させます。
キャブ乗りの方には当たり前の儀式になります。
イグニッションスイッチをONにして、燃料ポンプの音を聞きます。
この、フェラーリディノ308GT4は連続して常に燃料を送るポンプなので判りずらいのですが、瞬間的にポンプの音が変化する時が来ます。その音が変化した時が、フロート内に燃料が満たされた合図になります。
音が確認出来たら、アクセルペダルを4〜5回、床まで踏み込んであげます。
こうすることで、キャブレターの加速ポンプから燃料がインテークへと流れ出ます。
これで、儀式は終わりです。
あとは、スターターを回して、ちょっとアクセルを入れてやればエンジンが始動します。
…のはずでしたが、かかりません。というか、アクセルペダルの位置に違和感が。
アクセルペダルは、こんなに引っ込み思案だったか???
もしかすると、アクセルが戻っていないのか?
疑いのある所は片っ端から点検していきます。
早速、エアクリーナーケースの下にいる、スロットルのリンケージを確認します。

エアクリーナーを取り外し、本来は動くはずはないのですが、スロットルリンクを閉じる方向に動かすと・・・
??動きました。

スロットルが閉じ切れていなかったので、空気の量が多すぎてエンジンが始動しなかったようです。
ウェーバーを取り外して、清掃して注油して…とやってあげたかったのですが、とりあえず、この日は、なんとかしてスロットルが戻るようにしてみることにしようと思い、潤滑剤を塗布して翌日まで放置しておきました。

 

翌日、予想通り何の変化もなく、アクセルを踏み込むと戻らない状態が…
仕方がないので、近くのホームセンタージョ〇フル本田で合いそうなスプリングを購入して取り付けました。

思いのほか、きっちり戻ってくれたので、恒例の儀式を行いエンジンスタート!
???かかりません…。
再び、スパークプラグを点検してみると、全員揃って見事にビショビショ。
昨日同様にスパークプラグを全て外して火あぶりの刑に処した後に取り付けます。

 

気を取り直して、一から儀式を執り行って…スターターを回して…アクセルをちょいといれて…。

 

ハハハ、かかりました。
やはり原因は、スロットルが戻らないことにより、空気の流入量が多すぎて燃料が薄くなっていたために、始動できなかったようです。
ま、とりあえずエンジンは、かかったのでエアクリケースを組み付けて作業終了です。

 

大家さんは購入したフェラーリ屋さんに問い合わせたところ、「スロットルのバネは強いから戻るはず、アクセルペダルがおかしいのでは?」と申しておったらしいのですが、言っていることが怪しすぎる業者ですね。
エンジンもオーバーホールして500kmしか走っていないようですが、オイル漏れ起こしているし、プラグコードはカチカチだし、エアコンの配管はへし折れてるし、パッと見たら、ヘッドカバーのパッキンだけ交換したのか?と思うような状態です。
大家さん本人には伝えてませんが、かなり怪しい車両です。

 

古い痛車イタ車は壊れるのも仕事のうちなので、すべてひっくるめて楽しんでもらいましょう。
ということで、大家さんのフェラーリの話でした。


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