【ダッジのA/T】
ダッジ車に使わているA/Tを紹介します。
PLネオン 31TH 3速 油圧制御オートマチック・トランスミッション
GS/RGグランドボイジャー 41TE 4速 電子制御オートマチック・トランスミッション
RTグランドボイジャー 62TE 6速 電子制御オートマチック・トランスミッション
PTクルーザー 41TE 4速 電子制御オートマチック・トランスミッション
40TE 4速 電子制御オートマチック・トランスミッション
LH イントレビット 42LE 4速 電子制御オートマチック・トランスミッション
LX マグナム 2.7L 3.5L 42RLE 4速 電子制御オートマチック・トランスミッション
LX マグナム 5.7L 6.1L NAG1(MB)5速 電子制御オートマチック・トランスミッション
LX チャージャー 3.5L 42RLE 4速 電子制御オートマチック・トランスミッション
LX チャージャー NAG1(MB)5速 電子制御オートマチック・トランスミッション
LD チャージャー NAG1(MB)5速 電子制御オートマチック・トランスミッション
LD チャージャー 8HP (ZF) 8速 電子制御オートマチック・トランスミッション
LC チャレンジャー
LA チャレンジャー 8HP (ZF) 8速 電子制御オートマチック・トランスミッション
JSD アベンジャー 62TE 6速 電子制御オートマチック・トランスミッション
KA ナイトロ 42RLE 4速 電子制御オートマチック・トランスミッション
JC JC 62TE 6速 電子制御オートマチック・トランスミッション
PM キャリバー CVT2(ジャトコ) CVT
WD デュランゴ NAG1(MB)5速 電子制御オートマチック・トランスミッション
8HP (ZF) 8速 電子制御オートマチック・トランスミッション
【ダッジ車両 A/Tの型式】
ダッジ車両A/Tの型式からどのようなA/Tかを紹介します。
A/Tの型式は何を表しているのか?
6=6速
2=トルクランク(数が大きいほど大きなトルクに耐えられる)
T=横置き FF 用
E=電子制御
3 = 3速
4 = 4速
5 = 5速
6 = 6速
0〜90=トルクランク
FE= 完全電子制御
E = 電子制御
H = 油圧制御
R = リヤ駆動用
T = 横置きエンジンFF用
L = 縦置きエンジンFF用
A = AWD用
NAG1
MBの722.6と同じものですが、クライスラーで製造しています。
W = 油圧トルクコンバーターを使用したトランスミッション。
5 = 5速
A = オートマチックトランスミッション。
580 = トルクランク
8HP45 = ZFで製造
845RE = クライスラーで製造
8 = 8速
H = 油圧作動
P = 遊星歯車セット
45= トルクランク
【基本整備】
ここでは、基本整備を説明していきますが、中々自身でA/Tのメンテナンスはできないと思いますが、知っていて損はないと思いますよ。
基本整備の点検項目は2つです。
・オイルの汚れ/濁り/異物の混入
・オイルの量
です。
近年の車両には、レベルゲージが付いていない物もありますが、レベルゲージのあるクライスラー車両は、参考にしてください。
ATF(オートマチックトランスミッションオイル)は、温度により体積が変化するので、オイル量をチェックする際は必ず通常作動温度(約82℃)でおこなって下さい。
油温が低いと、レベルも低く、油温が高いと、レベルも高くなります。
【NAG1】と【8HP、8〜】は、特にシビアに測定してください。
といっても、この2機には、レベルゲージは付いていないので、ネットなどで購入してチャレンジする方は参考にしてください。
【警告!】
レベルゲージがないからと言って、針金などで計測しようとしないでください。
ZHクロスファイアは特にですが、レベルゲージのガイドパイプの角度がきついので、場合によっては中で折れてしまう可能性があるので、絶対にやめましょう!
レベルゲージが、ある車両は、ゲージの先端部分に、計測方法が、英語ですが刻印されているので、刻印に従って点検してください。
【ATF量による不具合は?】
先ほども触れましたが、レベルゲージがないクライスラー車両は、専用でも汎用でも良いですが、レベルゲージを使って、既定のオイル温度で計測することが求められています。
特に【NAG1】は、レベル調整がシビアで、数ミリ違うだけでも、【ギアレシオ】の不具合を拾って、エンジンチェックランプを点灯させます。
では、ATFの量で、具体的にどのような不具合が発生するのでしょう。
まず、量が少ない場合です。
ATFの量が少ないと、A/T内部のオイルポンプが、ATFと一緒に空気が混入してしまいます。
逆に、ATFが多いと、ギアの内部にATFと一緒に空気が入って攪拌されてしまいます。
その結果、ATF内に混入した気泡が、ATFを加熱および酸化させることで、【ワニス】が蓄積します。
この【ワニス】が、A/T内部のバルブやクラッチ、サーボなどの部品を作動不良に陥れ、結果【クラッチが滑る】という症状が発生するのです。
クライスラーのA/Tは、A/T先進国アメリカで開発されているので、ほとんど故障しません。
故障するときは、内部の部品の損壊が引き金になって、とんでもない壊れ方をします。
ディーラーさんで、定期的にメンテナンスされている車両であれば、心配ないでしょう。
最も注意が必要なのが、街中の中古車屋さんで販売されていて、記録簿が少ない(過去2年分とか)ものは、避けたほうがよろしいと思います。
ディーラー時代に、作業したA/T修理のほとんどは、業者さんが販売した車両の故障依頼が多かったです。
それも、オイル管理が非常に悪い車両ばかりです。
よく巷で、W〇K〇SのATFを売りにしているショップが多く見られますが、クライスラー車両にはお勧めしません。
シフトの感覚が悪くなります。
交換前と比べると、変化があるので、気分は変わりますが、クライスラー車両のA/Tに良い影響は与えませんので、覚えておいてください。
ちなみに、クライスラーの純正指定ATFの【ATF+4】は、様々な添加剤が配合されているので、おすすめです。!
ATFを100%の量を交換することは、トルクコンバータをオーバーホール、または交換しないと、ほぼ不可能なので、覚えておいてください。
【ソフトによる不具合】
クライスラー車両は、ソフトの問題で不具合が発生すると、不具合を解消できるソフトに書き換えることができます。
これを知らずに、頑張って修理?しても、ほとんどの場合、完治はしません。
ただ、クライスラー純正診断機を設置しているところであれば、書き換えができますが、むやみにやってしまうと、元に戻せないので注意してください。
あくまでも、不具合を感じたら実施してください。
よく、新しいデーターが在るからと、やってしまう業者がありますので、そこも注意しておきましょう。
業者は、サービスのつもりでやっているようですが、正常に動いていたものが、動かなくなったりしますよ。
もう一度お伝えしますが、決してむやみに書き換えしないように!!
【そんなに必要?A/Tの多段化(3速=>9速)】
近年の【A/T】は8速、9速は当たり前になっています。
なぜそんなに必要なのでしょうか?
一番影響を与えるのは、燃費です。
各ギアの変速時に、エンジン回転数が1000〜2000回転ほど発生します。
燃費を向上させるためには、この回転数の変動を出来るだけ減少させる必要があります。
理想は、1000回転以内の変動です。
これに、適応させるために、多段化してきました。
MBでは、10A/Tも搭載されています。
先ほども触れましたが、【NAG1】ミッション同様、【8HP】,【9HP】も【845RE】、【945TE】として、クライスラーで製造しています
多段化のもう一つの目的は、走行中の不必要な変速があります。
多段化することで、ギア比が狭まり、不要な変速を避けることができるのです。
ローバーのイヴォーグに搭載されている9HPは、一般道でも9速までシフトアップするようですが、クライスラー(ジープブランド)の9HPは7速までしか入りませんでした。
高速に入らないと9速までいきませんでした。
エンジンの特性と、プログラムで差が出ているようです。
【トルクコンバータクラッチ】
トルクコンバータはエンジンクランクシャフトとトランスミッションを結合する油圧装置です。
トルクコンバータは、内部にタービンを備えたアウターシェル、ステータ、オーバーランニングクラッチ、ポンプインペラ、電子制御クラッチコンバータで構成されています。
トルクコンバータクラッチ(TCC)は、接続するとエンジン回転速度を抑え、燃費を改善します。
またクラッチの接続によってトランスミッションオイル温度を下げる効果もあります。
TCCは、A/Tによって、一定の条件下で接続します。
ダッジ車両は、NAG1の5速A/Tが最高段数でしたが、2007年にキャリバー(PMに)【ジャトコ】のCVT、2011年に【ZF】の8HP、2014年にこれ【ZF】で9HPが採用されました。
【CVTは255段変速】
CVTは、日本のジャトコ製ですが、アメリカで組み立てられていました。
CVTは、駆動させるためのベルトを、2つのプーリで挟み込んで、プーリの径を変化させながら、ギア比を変えていきます。
その時、プーリ径はステッパモーターを使用しています。
このモーターはTCMで、255段階に制御されCVTのギア比は、2.349:1から0.394:1までの間で変化します。
シフトレバーには、Autostickモードが採用されて、シフタを左に動かすとダウンシフト感覚を与え、右に動かすとアップシフト感を与えます。
ロー・レンジが選択され、エンジンが6000rpmまで加速された場合、TCM は自動的に、次の高いレシオを選択します。
もしエンジンにオーバーレブを発生せるようなことがあれば、エンジンが安全な状態になるまでシフトは行われません。
Autostickモードの6速よりも、Dレンジの時のギア比が小さいため、燃費を良くしようと、Autostickモードを使用して早めに6速にしても、燃費はよくなりません。
CVTの、トルクコンバータクラッチ(TCC)は通常走行時に車速が低速(時速約20km (12マイル))時からロックアップし、この車速を越える全域にわたってロックされたままの状態となります。
車両が減速して停止する直前に、TCC が解除されます。
これは、ダッジキャリバー(PM)も同様です。
ご注意ください。
このCVTは基本的に、CVTオイルとオイルフィルター以外の部品は供給されないので、内部の故障=Assy交換となります。
私が見てきた中では、唯一1台だけ、故障したものがありました。
信号待ちで、停車中に【バン!】という音がして、走行不能になりました。
セカンダリー側のプーリ出力が無くなっていたので、確認のためにオイルパンを剥がしたところ、中からCVTのベルトの部品がごっそり出てきました。
いずれにしても、修理はできないので、車両からCVTを取り外し、分解したところ、CVTの金属製のベルトがちぎれて内部に散乱していました。
ということで、【ダッジのA/T】でした。